- HOME>
- 内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
内視鏡下副鼻腔手術(ESS: Endoscopic Sinus Surgery)
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)とは
対象となる鼻の病気
- 慢性副鼻腔炎
- 副鼻腔真菌症
など
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は、主に慢性副鼻腔炎や副鼻腔真菌症などの疾患に対しておこなわれます。これらの疾患では、鼻腔やその周囲にある副鼻腔という空間に膿やポリープ、真菌(カビ)が溜まり、鼻詰まりや鼻水、頭重感などの症状を引き起こします。副鼻腔はいくつかの空洞があり鼻腔とつながっていますが、病気によってその連絡路が閉塞してしまうことがあります。
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の目的
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の目的は、副鼻腔が本来持っている空気清浄、加湿機能を回復させることです。具体的には、副鼻腔の病的な粘膜を取り除き、各副鼻腔をひと続きの空洞として鼻腔へ大きく開放することで、病変部位の洗浄や摘出を可能にし、空気や鼻汁の流れを改善します。
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の特徴
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の最大の特徴は、副鼻腔の粘膜をすべて除去するのではなく、病的な部分のみを慎重に取り除くことです。この手法により、副鼻腔本来の機能を可能な限り維持しながら、症状の改善を図ることができます。
内視鏡を使用することで、副鼻腔の奥深くまで精密に観察し、処置することが可能になりました。医師は鮮明なモニター画像を見ながら、微細な病変も見逃すことなく、的確に処置をおこないます。
また、鼻の外側に切開を加えないため、術後の腫れや痛みが少なく、回復も早いという利点があります。これにより、患者様の負担を軽減し、早期の社会復帰を可能にしています。
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の手術方法
当院では、最新の技術と機器を用いて、安全かつ効果的な手術をおこなっています。
鼻の孔から内視鏡と手術器具を入れ、モニター画像を見ながら手術を進めます。
病的な粘膜やポリープを慎重に除去し、必要に応じて副鼻腔の壁の一部を取り除きます。
術後、手術した箇所には自然に溶けていく綿状の止血剤を詰めます。
従来のようにガーゼを大量に詰め込むことはせず、術後の痛みや出血のリスクを軽減しています。
※鼻中隔矯正を同時におこなった場合は、数か所に縫合をおこない、後日抜糸をおこないます。
ナビゲーションシステムの活用でより安全で美しい手術を
2015年より、当院ではMedtronic社製FUSION ENTナビゲーションシステムを導入しています。このシステムは、術前のCT画像と手術中の位置情報を重ね合わせ、副鼻腔内における手術器具の正確な位置をリアルタイムで把握できます。
副鼻腔は複雑な形状で、目や脳に近く、重要な血管も近接しています。ナビゲーションシステムを使用することで、これらの危険を回避し、より安全な手術が可能となります。当院では、すべての内視鏡下副鼻腔手術(ESS)手術でこのシステムを使用しています。
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は術後の注意ポイント
副鼻腔の粘膜が落ち着くまでには3か月近くかかります。この間は炎症や癒着を起こしやすいため、定期的な経過観察と適切なケアが重要となります。内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の術後は次のような注意ポイントを患者様にはお伝えしています。
- 術後の鼻の中は一時的に傷だらけとなり、1週間程度じわじわと出血が続きます。
- 鼻の腫れにより、2週間程度は鼻呼吸がしづらくなりますが、徐々に改善します。
- 抗生剤やステロイド薬の内服、ステロイド点鼻薬を1~3か月続けます。
- 食塩水による鼻洗浄を継続的におこなうことが、きれいな副鼻腔を取り戻すために最も重要です。
- 定期的な外来でのファイバー検査で経過を確認し、必要に応じて処置をおこないます。
- 術後3か月から半年の間にCT検査をおこない、副鼻腔の状態を評価します。
当院の内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の取り組み
当院では、経験による高度な技術で美しい手術を大切にしています。手術をして終わりではなく、手術後のフォローも含め美しい手術と考えております。患者様の症状改善やニーズにお応えし、生活の質向上に努めています。ご不明な点やご心配なことがございましたら、遠慮なくご相談ください。