後鼻神経切断術

  • HOME>
  • 後鼻神経切断術

後鼻神経切断術

後鼻神経とは

後鼻神経は、鼻の中の感覚と鼻水の分泌を司る重要な神経です。下鼻甲介というひだの中を走行し、アレルギー物質の感知や鼻水の分泌を調節しています。しかし、この神経が過剰に反応すると、くしゃみや鼻水が止まらなくなり、不快な症状を引き起こします。

後鼻神経切断術

後鼻神経切断術は、脳から蝶口蓋孔という穴を通って鼻の中に出てくる後鼻神経を内視鏡下で切断する手術です。この手術には主に2つの方法があり、患者様の症状や状態に応じて適切な方法が選択されます。両方法とも、多くの場合、粘膜下下鼻甲介骨切除術や鼻中隔矯正術と合わせておこなわれます。これにより、鼻づまりの改善と同時に、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状の軽減が期待できます。
手術の選択は、患者様の症状の程度や鼻の構造、全身状態などを考慮しておこなわれます。当院では、詳細な検査と診察に加えて豊富な臨床経験に基づいて、患者様に最適な手術方法をご提案いたします。

蝶口蓋孔を同定し、動静脈とともに神経を焼灼する方法

この方法では、上顎洞という副鼻腔の出入り口の後方から粘膜を剥離して持ち上げます。粘膜を持ち上げていくと、骨壁から血管繊維束が突出している場所(蝶口蓋孔)が見つかります。蝶口蓋孔を同定したら、電気メス(バイポーラ)で挟んで焼灼します。焼灼後に繊維を切断します。この方法は、神経の本幹を直接焼灼するため、効果が高いとされています。ただし、出血のリスクがやや高くなる可能性があります。

粘膜下下鼻甲介骨切除をおこない、下鼻甲介後端部の神経を焼灼する方法

この方法では、まず下鼻甲介の粘膜を切開し、その中にある骨(下鼻甲介骨)を除去します。下鼻甲介の粘膜の中には、蝶口蓋から分枝した後鼻神経の下鼻甲介枝が走行しています。この神経を粘膜の中から同定し、焼灼します。
1の方法よりも出血のリスクが少ないですが、下鼻甲介のみの神経切除となるため、極めて重症のアレルギー性鼻炎の方には効果が不十分な可能性があります。

後鼻神経切断術の効果

術後1年で、くしゃみや鼻水の症状が約70%改善するとされています。適切に神経切断がおこなわれた場合、4年後も同様の効果が維持されます。ただし、目や肌のかゆみなどの症状は改善しません。

後鼻神経切断術はこのような症状の患者様に適応

後鼻神経切断術は主に重症のアレルギー性鼻炎患者が対象となります。

  • 鼻汁、くしゃみでお困りの方
  • アレルギー検査で高値を示す方(RAST法でクラス3以上)
  • その他の治療で改善されなかった場合

後鼻神経切断術の流れ

後鼻神経切断術は全身麻酔下でおこなわれ、多くの場合、粘膜下下鼻甲介骨切除術や鼻中隔矯正術と併せて実施されます。手術時間は約1〜2時間程度です。

後鼻神経切断術後の注意点

後鼻神経切断術を受けられた患者様は、術後の回復と合併症予防のために、以下の点に注意していただく必要があります。

  • 術後1週間は出血の可能性が高い時期です。このため、激しい運動や重い物を持ち上げるなどの動作は控えていただき、安静に過ごすことが大切です。
  • 入浴の際は熱いお湯を避け、ぬるめのお湯で体を洗うようにしてください。
  • 術後2週間程度は、ウェイトトレーニングや水泳など力を入れる運動、激しいスポーツは避けていただきます。これは、遅発性の出血を予防するためです。徐々に日常生活に戻っていただけますが、無理はせず、体調を見ながら活動量を増やしていってください。
定期的な通院が非常に重要

術後の経過観察や必要に応じた処置をおこなうため、医師の指示に従って通院してください。通常、術後1週間は頻繁に、その後は状態に応じて通院間隔を調整していきます。

後鼻神経切断術後の合併症

後鼻神経切断術後には、いくつかの合併症に注意が必要です。これらの合併症は、術後ケアと定期的な通院によって予防や早期発見ができます。何か気になる症状がある場合は、速やかに医師にご相談ください。当院では、美しい手術を心がけております。これには手術後のサポートも含めて考えおり、手術後も継続的なサポートをご提供し、患者様の回復をしっかりとサポートいたします。

遅発性の術後出血

神経は動静脈と並行して走行しているため、焼灼した後に血流が再開し始めると、術後1週間から1か月後に再度出血する恐れがあります。

萎縮性鼻炎

手術により鼻粘膜が萎縮し、鼻の中にかさぶたが蓄積したり、異臭が起こったりする可能性があります。また、鼻の通りは改善したものの、違和感を感じてしまうこともあります。

一時的な副鼻腔炎

手術の際に副鼻腔の入り口の粘膜を持ち上げたり、その近くに詰め物をしたりするため、術後に一時的な副鼻腔炎を起こす場合があります。多くの場合、投薬治療や時間の経過とともに改善しますが、症状が気になる場合は必ず医師にご相談ください。

075-682-6060

Web予約

お問い合わせ