粘膜下下鼻甲介骨切除術

鼻づまりと下鼻甲介の関係

鼻は空気の通り道であると同時に、外から入ってきた空気の湿度を調整する重要な役割を担っています。鼻の中には「甲介」と呼ばれる粘膜のヒダがあり、上・中・下鼻甲介の3種類がありますが、そのうち下鼻甲介が最も大きく、多くの空気に触れています。
長年のアレルギー性鼻炎や慢性鼻炎により、下鼻甲介が肥厚してしまうと、鼻の真ん中の柱（鼻中隔）と下鼻甲介の間の隙間である総鼻道が狭くなり、鼻づまりを引き起こします。この状態を肥厚性鼻炎と呼びます。

粘膜下下鼻甲介骨切除術とは

粘膜下下鼻甲介骨切除術は、重症のアレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎による鼻づまりを改善するための手術です。内服薬や点鼻薬で十分な効果が得られない場合に検討される治療法で、特に年中鼻が詰まっている方や季節性の鼻づまりが強い方に適しています。
この手術では、下鼻甲介の中にある下鼻甲介骨を切除します。これにより、下鼻甲介の容積を減らし、鼻の通りを良くすることができます。粘膜へのダメージが少なく、かつ効果的に下鼻甲介を縮小できる方法として注目されています。
手術の特徴として、粘膜への影響が少ないため、鼻の重要な機能を保ちながら症状を改善できます。また、一般的におこなわれているレーザー手術とは異なり、粘膜表面を焼灼せずに、表面の瘢痕化や粘膜機能の損失を防ぐことができます。
手術の際の手間はかかりますが、良好な術後の状態が見込め、再発も少ない手術法です。長期的な効果が期待できるため、重症の鼻づまりでお悩みの方にとって有効な選択肢となっています。

粘膜下下鼻甲介骨切除術の方法

当院では、全身麻酔下で1泊2日の入院により手術をおこないます。手術の流れは以下の通りです。

この方法は、レーザーやラジオ波による焼灼術と比べ、粘膜の機能を維持しつつ、より確実に組織量を減らすことができます。そのため、再発のリスクが低く、長期的な効果が期待できます。

粘膜下下鼻甲介骨切除術後の経過と注意点

手術後は一時的に出血や腫れが生じますが、1～2週間程度で落ち着いてきます。約1か月で鼻の通りが良くなったことを実感できるようになります。
術後は感染予防のため抗生剤を内服し、定期的な通院が必要です。術後1週間までは隔日程度、その後1か月までは週1回程度の通院をお願いしています。

粘膜下下鼻甲介骨切除手術のメリットとデメリット

メリットとしては、粘膜の機能を維持しつつ、確実に下鼻甲介の容積を減らせることが挙げられます。また、レーザー治療などと比べて再発のリスクが低いです。
一方、デメリットとしては、全身麻酔と入院が必要なため、時間的・費用的な負担が大きくなることが挙げられます。また、術後しばらくの間は出血や腫れが続く可能性があります。